柴原廣彌の遺稿 03
013 整理整頓 寝台の後にある整頓棚には木製の手箱が各自一宛あって、日用品はその中に入れ |
014 食事 食事の時になると週番上等兵が「飯上げ集まれ」と呼びにくる。班にいる初年兵は 進んで食事受領の使役に出て、週番上等兵に引率されて炊事場へ行き食事を受領し、 食缶を提げて中隊へ帰り各班別に分配をして、各班では机の上に配給をし二年兵に報 告をして食事をするが、二年兵が食った後その食器を補充兵は率先して受取り洗わな ければならないため、我々は落ち着いて食ってもいられなく何時もあわててかっ込む 食事である。下士官の食事は各班長の土造り膳がそろっていて、それに配膳の上で下 士官室に持って行き食事が済む頃を見計らって下げに行く。食器洗いが済んで暫時す ると「食缶返し集まれ」と呼出しがある。この食缶返しがまた大変な事であり、炊事 場にいる古兵は皆壮々たる恐ろしい兵ばかりで、食缶を一個宛よく点検し飯粒一個で も付いていると物凄く気合をいれらりる。炊事場には上残飯と下残飯を捨てる所があ って、上残飯は未だ手の付いてない良い残飯で腹のすく初年兵は内密に摘み食いする 者がいる。 軍隊には雲脂飯(ふけめし)と云う言い伝えがあり嫌な下士官や将校に食膳を持って 行く時、密かに食事の上で頭髪を掻き回し雲脂を振りかけておくと、何も知らずにそ の飯を食った上官は気分が悪くなり、それ以上食えなくなると古兵から聞いた。 |
015 使役 時々週番上等兵から各班あて使役を出せと呼び出しがくる。使役は営内の草取り、 |
016 給料と貴重品 兵の給料は十日毎に支給されるので中隊事務室から達しがあると、各自認印を持っ |
017 検閲 入隊後三ヶ月を過ぎると愈愈一期間の教育が終わり検閲を受けるのであるが、この |